
こんにちは。らっこです。
漫画が好きです。
このシリーズでは、独断と偏見で面白かった漫画を紹介しています。
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今回紹介するのは、こちらの漫画。
執筆時時点で7巻が出たばかり。
前に紹介した漫画『クイーンズ・クオリティ』が載っている、『ベツコミ』で連載中の作品です。
実はクイーンズ・クオリティの最終話がどうしても待ちきれなくて、『ベツコミ』本体を買ったんです。25年ぶりくらいに月刊の漫画を買いました。どんだけ読みたいねん。笑
で、今回紹介する『虎王の花嫁さん』は、『ベツコミ』の中に載っていて読んだのでした。せっかく買ったからね、やっぱり他の作品も読むよね。
ちなみに『ベツコミ』つながりで言うと『主人恋日記』も持ってます。こちらも面白いのでおすすめ。また別の機会に書きます。
ざっくりあらすじ(ネタバレ含む、注意!)
物語は、主人公の凜花(りんか)が、初恋の人の彩虎(あやとら)と結婚して少し経ったところから始まります。
凜花は2ヶ月前にお父さんを亡くしたばかり。お母さんは、もっとずっと前に他界しています。
彩虎は歌舞伎町の元・伝説のホスト。
凜花のお父さんが経営していたホストクラブLilyで働いていた人。
凜花のお父さんは、身寄りがなく危ない道に行きかけていた彩虎を街で拾ってから、ずっと親代わり的存在として気にかけていたのでした。
彩虎はホストを辞め、凜花のお父さんの跡を継いでオーナーになり、凜花に求婚。交際0日婚が始まります。
物語のテイスト:浅くない溺愛系
テイストは溺愛系。彩虎が凜花をめちゃくちゃ大切にしています。汚れて生きてきた自分にとって唯一の生きる希望だと思ってる。
でも彩虎は自分の生い立ちに負い目もあって、凜花のことが大切なのに、こんな自分でいいのか、っていう苦い思いも抱えつつ。でもやっぱり好き…!って感じなのよね。
そんな彩虎の心配をよそに(?)凜花はもともと彩虎のことが大好きだったんですよね。
でも彩虎は出会ったときにはすでに「いずれホストになる人」だったから、気持ちに蓋をして、応援することを選んだわけで。
ふたりとも、お互いを大切に思うあまりに、ときどき言葉が足りなかったり、突っ走ったり。すれ違いも起こるけど、そのたびに気持ちを確かめ合って、というストーリーかな。ざっくりいうと。
一見ふわふわと甘い感じのストーリーに見えるのですが、私は、ただの浅い溺愛系の漫画ではないなと思ってます。
その理由は、ふたりがそれぞれ暗い過去・辛い過去を持っているからこその強さと覚悟を持っている姿勢に、勇気をもらっているから。
詳細はぜひ読んでもらえたらと思いますが、
「高校生がこんなことが言えるようになるなんて、幼少期からどんな経験をしてきたんだろう?」
って、ちょっと言葉が出てこなくなります。(これは子育て中の身だからという視点かもしれない)
好きだなと思うポイント
凜花の人間性がすごい
凜花は、笑顔が可愛いピュアな子です。
物語では凜花はもう大学生なんだけど、スピンオフ版では高校時代のことも描かれていて…
実は家がホストクラブ経営ということで、学校でひとりぼっちにされたりしているんですよね。
でも弱音を吐かない。お父さんのこともお店の人のことも好きだし、誇りを持っている感じで。学校でひとりでも「卒業すれば終わる」と覚悟を決めている。
これ、大人でも、持とうと思ってもなかなか持てる種類の強さじゃないと思います。
オーナーの娘ということもあり、小さい頃からお店の人に「お嬢」と呼ばれて大切にされているんだけど、ただ守られるだけのか弱い女の子じゃない。
ときどきハッとするほど強くて、そこに気づく!?みたいなことに気づく。よく人を見てるなーっていう子です。
でもやっぱり年齢相応の甘さもあれば無鉄砲なところもある。
そんな凜花のことが彩虎は心配で、危ないことがないように閉じ込めておきたいんだけど、凜花は自分も彩虎を守りたくて自立したい!みたいな、そんな感じ。
彩虎の重さとダークさ
歌舞伎町で伝説のホストになるほどのビジュアルと、女の人の扱いのうまさを持っていながら、彩虎はどこか凜花との関係に自信がない。
自分が凜花を抱くことを「汚しそうで怖い」と感じるほどに、自分の過去に負い目があるようす。
漫画を読む限りは、彩虎は身体を売ったりはしていないはずなんだけど、それでも「自分」を売って生きてきたという感覚が強いのかもなあ、と思います。
特に自分が使う愛の言葉には慎重。「すべてお金に換えてきた」と思っているから。
それで言葉が足りないからこそ、すれ違ったりする部分もあるんだけどね。
でも凜花は、さすがホストクラブのオーナーの娘というのか、なんか度肝を抜かれる強さを持っている。
男に襲われてもおかしくないような場面で啖呵を切ったりする。でもこっそり手は震えてるんだけど、いわゆる「箱入り娘」は持っていないであろう強さがある。
そんな凜花の芯の強さが、いつも彩虎の心配を超えていく感じがある。彩虎はきっと救われているんだと思う。
彩虎の過去を聞こうともしない。聞いてはいけないと思ってるし、でももし言ってくれるならすべてを受け止めようとも思ってる感じ。「大切なのはこれから」っていうスタンスが揺るがないんだよね。
人が自分では選べない生まれとか育ち方で人を判断しないっていう究極の受容姿勢みたいなものを感じて「すごいなあ…」って思います。
…という感想です!
ホストクラブ、私は行ったことないし、これからも行くことはないと思う。
をこの漫画で描かれているような綺麗な世界じゃないんだろうな、とも思う。だから、こういう世界リアルで味わうことへの興味はない。
ただ、ときどきトップクラスのホストの人についての記事を見たり読んだりすると、
「トップになるまでの試行錯誤はすごかったんだろうな」
とか
「人間の欲求をいかに満たすのかをとことん追求しているんだろうな」
とは思ったりする。
その脳内をチラ見したいので、いつかお目にかかることがあれば質問してみたいなあ。笑
話が漫画から逸れましたが、今回紹介したのはこの漫画でした!
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